日本のギャンブル依存症は日本人の2.7%にあたる約270万人です。
(厚生労働省の発表による(平成29年3月))
これは全国11都市に住む20歳から74歳までの993人に対し100の調査項目を使って面接を行なった結果です。
そしてこのギャンブル依存症の9割がパチンコ・パチスロ依存症であると言われています。
日本におけるギャンブル依存症は、パチンコ・パチスロ依存症と言っても間違いではないでしょう。
では、ここではパチンコ依存症の克服から解決策まで見ていきます。
あくまで病院等に頼らず、本人や家族と協力して行い克服内容です。
少し長くなりますが、最後までお読みいただければと思います。
パチンコ依存症の苦しみ
嘘と借金
パチンコ依存症の人に多く共通することが「嘘をつく」「お金を借りる」ということです。
パチンコ依存症の人は嘘をつきます。本来やらなければならないのに「嘘」をついてパチンコした経験はあるのではないでしょうか。
毎日残業といってパチンコ店に行く。休日も仕事だと言ってパチンコ店に行く。パチンコ依存症の人は嘘をつく必要があるのです。
パチンコ依存症の人は借金をしている人が多い。実際にお金を借りることもそうですが、本来使ったらいけないお金を使うことも同じです。自分の使える範囲でパチンコをすることが出来ないのがパチンコ依存症です。
嘘をつくことや借金を繰り返すことについて最初は罪悪感を感じます。ですがそれを繰り返していくうちに罪悪感も薄れ、ためらいもなくなります。嘘はより大胆に、借金はより高額になっていくのです。
嘘や借金が増え続けると、次第にそれらから抜け出せなくなります。
借金はパチンコで取り返す
借金が増えるとそのお金は当然返さなければなりません。パチンコ依存症の人はその借金返済分をパチンコで取り返そうとするのです。
「パチンコで損をしたらパチンコで取り返す」そういう考え方です。これだけ負けたのだから今度は勝つはずだと思うのです。
ですが今まで負け続けているのにこれから先勝てるほどパチンコは甘くはありません。結局は負債を増やし続けることになります。
でも、本人はパチンコで取り返す方法しか思いつかないのです。
次第に自分でも抱えきれない程の借金を背負うことになります。それでも家族や友人には打ち明けることができません。
自分がパチンコ依存症であることを自覚すること
自分がパチンコ依存症ではないかと気づく人と、気づかない人がいます。
もう自分自身で重荷を背負いきれなくなった時、これ以上はもう無理だと腹をくくった時にようやく家族や友人に初めて相談します。ですが実際は相談する前に本人の口からではなく、借金の督促の電話や手紙等で家族が先に知ることも多いのです。
事の重要性に気づき、ここでようやく自分はパチンコ依存症であることを自覚する人もいます。
中には家族に借金があることを伝えられたため、重荷から開放されたかのごとくホッとする人もいます。
これまで苦しみ続けてきたのはパチンコ依存症という病気のためだったんだとわかると、これまでのどうにもならなかった状態から一転し、今後に希望がもてます。
家族に出来ること
まず本人に自分はパチンコ依存症であり、周りに大変な迷惑をかけているという問題認識がないと何もできません。反省するふりは誰でもできますし、嘘をつくことに罪悪感もありません。
問題意識がないということは、本人は何も困っていないということです。
家族ができることは、本人が「困る」ように、うながしていくことです。
具体的には
「借金の肩代わりはしない」
「自分のしたことの責任は自分でとらせる」
これを徹底させることです。
ただしこれは家族にとっては非常に辛いことで、苦しむ本人を放おっておかなくてはならないからです。
しかしそこで情に流されて手助けをしてしまえば、その本人の思う壺になり、解決の道はさらに遠のいてしまいます。
家族や親戚が簡単にお金を返してしまえば、本人はまた借金をするようになります。このケースは非常に多いのです。当事者意識をもたせ必ず本人に責任をとってもらうことが大切です。
カウンセリングを行なう場合においても、本人が問題意識を持っていなければ意味がありません。
多額の借金があってとても1人では返せない場合
実際問題、多額の借金を抱えていた場合は1人では物理的に返していくことはできないでしょう。
利息を返すだけでも大変です。
債務整理を行なうことで借金額を減らすこともできます。
参考リンク:債務整理の種類
家族が払えるのなら一括で返済するのは構いません。ただし立替えた分はたとえ月に1万円ずつであっても返済させるようにしてください。なあなあにならないように必ず借用書と誓約書を作りましょう。
パチンコ依存症は治らないものだと諦める
パチンコに限らず、依存症は一生治らない病気です。
5年間パチンコ店に行ってないから治ったとか、そういう話ではないのです。
依存症は一度火がついてしまったら、その火種は一生心の中にくすぶり続け消えることはないのです。
一度「パチンコ依存症」になればパチンコを適度に楽しむことができなくなります。
パチンコ依存症を克服するには、アルコール依存症と同じく減酒ではなく断酒をしなければなりません。
今後は一度たりともパチンコ店に行かない覚悟で生活を続けなければならないのです。
何年もパチンコを断っていたとしても、たった一度の出来心で心の奥底に消えずに残っていた「パチンコ依存症の火種」が再度燃え上がります。その燃え上がり方は一瞬で最高点まで上がります。
そうなった場合、これまでの努力や苦しんできたことが一瞬で水の泡になってしまうのです。決して火種は消えないということを忘れないでください。
より無害な依存をつくる
ではどうすればパチンコ店に行かずに済むのか。
パチンコ店にだけ行かなければ全て解決というような単純なことではありません。
自分の自由な時間が出来たときが一番リバウンドしやすい時です。
以下のような経路になります。
- 自由な時間ができる
- 暇だな。何もすることがない
- そういえばパチンコ新装開店のチラシが入っていたな
- 自分は打たないけどパチンコ店を覗いてみよう
- 他のパチンカーを見ててもつまらない
- 1000円だけ打とう。これで当たらなければ帰ろう
- 当たらず悔しい。もう1000円だけ打とう
そして現金投資が止まらなくなります。くすぶっていたパチンコ依存の火種が燃え上がるのです。
他の何かの依存症になる
パチンコ依存症を克服する一番良い方法が、別の依存症になることです。
パチンコの依存症になり得たのならば、他の依存症にもなり得ることが出来るはずです。
依存は依存でもより無害な依存症になることです。
それらは以下のような条件が必要です。
- 快楽的なこと
- ハマることのできること
- 1人でできること
- 他人に害を及ぼさないこと
- お金があまりかからないこと
パチンコが依存になりやすい大きな理由の一つは身近にあるからです。気軽に遊びにいけるからです。もしこれが車や電車を利用して4時間も5時間もかかるところにパチンコ店があったとしたら決して依存症になることはないでしょう。もっと節度を持って計画的にパチンコに取り組むはずです。
パチンコ、パチスロほど、これだけ興奮する身近なギャンブル場はありません。世界にはギャンブル場としてカジノがありますが、ここまで身近にあるわけもなく、正装で入場するためとても庶民が毎日通うことはできません。これだけ身近に存在するギャンブルは日本だけです。これは国がギャンブルではなくてあくまで遊技として認めているからです。
オススメの娯楽
一番のオススメはカラオケです。今は1人カラオケ店もあるくらいです。
身近にあることが重要です。お金もあまりかからず、ストレス解消にもなります。
釣りなども良いかもしれませんし、ウォーキングやマラソン、サイクリングなども健康的です。
マラソンは開催する大会も多いため、それに参加することにより順位やタイムなどで競うことも出来ます。少しでも自分のタイムが早くなれば嬉しいものです。
アマチュアマラソン大会に出場するために週末は遠征に行くという人も少なくありません。
自分の思考(考え方)を変える
パチンコは勝てないことを理解する
パチンコは勝てないことは頭ではわかっていても、自分だけは勝てるのではないか、昨日負けたから今日は勝てるのではないかと自分に都合が良いようについ考えてしまいます。
・負けたら取り戻したいから行く
・勝ってももっと勝ちたいから行く
・新機種が出たから打ってみたい
言わばこれのくり返し。
ですがパチンコ店をみてもらえばわかりますが、あれだけ設備や人件費にお金がかかっているのに、長い目でみたら勝てるはずがないのです。その仕組みをしっかりと理解しなければなりません。短期で勝てても長期では必ず負けるのです。
参考リンク:パチンコ負けすぎ・・・どう考えてもおかしいでしょう
行動を変える
これはパチンコそのものの存在を頭の中から無くすことです。パチンコ・パチスロをこの世からなかったことにします。
パチンコというキーワードをいっさい無視し、見ないようにすること、そして考えないようにすること。
パチンコ番組や動画サイト、インターネットやマンガなど、パチンコに関する情報はシャットアウトします。新装開店のハガキやチラシは以ての外。すぐに捨ててください。
パチンコ店の前を通る場合でも見ないようにすることです。
それを繰り返すことで、パチンコのことを四六時中考えることはなくなります。
頭の中から、視界の中から、パチンコという存在を消すのです。
パチンコ依存症が克服できたということ
パチンコ依存症の人、つまりこれまで頭の中のほとんどがパチンコで占められ、時間を潰したり、楽しめる方法がギャンブルしかなかった人にとって、それが他の行動に置き換わることができればとても大きな変化です。
パチンコ以外のことを楽しむことでストレスを発散したり、気持ちを高揚させたりすることは十分に可能ですし、それ以上の効果も期待できます。なぜならば、パチンコはその場で楽しめても、その場限りのものだからです。
まとめになりますが、嘘をつき続け、借金に追われる日々から開放され、純粋にパチンコ以外の楽しめるものを見つけることが唯一パチンコ依存症から脱却したことになります。
パチンコ依存症とは一生付き合っていかなければならないもの。それだけは忘れないでください。