最近パチンコ・パチスロ業界で、「みなし機」や「旧基準機」の撤去などの言葉を良く目にします。
では、いったい「みなし機」や「旧基準機」とは具体的に何のことでしょうか。
先にパチスロメーカーからパチンコ店までの機種の設置までの流れを説明します。
パチスロメーカーは新しい台を開発した場合、保通協(保管通信協会)に型式試験の申請を行います。
これを受けた保通協は、機種毎の出玉率などが「風営適正化法施行規則」の枠内に収まっているかどうかの試験を行います。
この型式試験に通ると「適合」となるわけです。
当然「不適合」になることも有りえます。ちなみに平成29年9月の型式試験状況は以下の通り。
試験機種計 | 適合 | 不適合 | 適合率 | |
---|---|---|---|---|
パチンコ | 73 | 33 | 40 | 45% |
スロット | 63 | 29 | 34 | 46% |
試験内容はかなり厳しめです。半数以上は「不適合」になり、再度やり直しになります。
型式試験の不適合理由としては以下のような内容です。
引用:遊技日本
パチスロの不適合事例では、シミュレーション試験、試射試験において出玉率が規則で定める値を超過したという事例に加え、「遊技機筐体と効果音を出力するためのイヤホンがコードで接続されている構造は、遊技者が引っ掛けたり、又は故意に引っ張るなどの可能性があり、コードとの接続部及びコード自体が耐久性を有しないものであった」「停止ボタンの可動範囲が、遊技によって変化する性能を有していた」といった、出玉性能以外での不適合事例が確認された。
この型式試験を受けるには、1回あたり100万円を超える手数料が必要になります。
メーカーにとっては時間もお金もかかる大切な試験です。この型式試験に合格せず、お蔵入りになった「機種」も少なくはありません。
保通協から「適合」を受けたあとに、「公安委員会」に販売許可を申請し、これが許可されると「検定通過」となり、各パチンコホールへと販売が可能になります。
みなし機とは、そして撤去へ
検定機、認定機、みなし機とは
今現在ホールに設置しているパチスロ機を以下3つに分けることができます。
1.検定機(検定期間)
2.認定機(認定期間)
3.みなし機(上記以外)
検定を通過した機種を「検定機」と呼びます。その検定機の有効期間は3年です。3年間は問題なくホールに設置することができます。
(検定期間とは、メーカーが検定を通って申請した日から検定期間になるため、発売日ではない)
そして検定期間3年過ぎる前に認定を行なうかどうかを店側は決めなければなりません。認定を受けた場合は再度3年間設置することが可能となります。
認定とは車で言う車検のようなものです。今後も長く乗り続けるなら認定を受けるが、もう乗らないようなら認定は受けないこともできます。
もちろん認定を受けるにはお金もかかりますし、風営適正化法施行規則等の改正などにより認定申請出来ない機種もあります。(スペックに問題有り)
認定を行う場合、通常は検定切れとなる日から約1ヶ月前までに認定申請を行いますが、検定期間内であればいつでも構いません。
ここで認定を行わない場合は「みなし機」となります。また認定は1回しか行われないので認定期間が過ぎれば「みなし機」です。
みなし機とは、検定期間終了後に認定しない場合と、認定期間終了後の2通りあるわけです。
常識から考えると「みなし機」は本来お店に置いてはいけないような気がしますが、そんなことはありません。普通に期間が過ぎても稼働させることはできます。
みなし機は修理も移動もできない
では「みなし機」と「認定機」では何が違うかというと、修理と移動ができなくなります。
玉の飛びが悪くなってもハンドル周りを修理することはできませんし、一部ランプが切れても交換することさえできません。
そして店舗同士などでの移動もできなくなります。みなし機を中古で購入することがもきません。壊れたら何もできなくなります。
「壊れたらおしまいだけど、それまではずっと使い続けることができる」
これが今までの「みなし機」でした。
ですがそうも言っていられなくなりました。
これまでは曖昧な位置づけになっていたみなし機ですが、今後は使ってはいけないという流れになったのです。
平成30年2月1日以降について、みなし機の設置は違法となります。
違法とはなりますが、しばらくは取り締まらない期間を設けてほしいと、現在全日遊連が警察庁と協議中です。
このみなし機が期日までに撤去になれば、みなし機を数多く所有しているパチンコホールは死活問題です。今生き残っているみなし機は爆発力もあるため新基準機よりも稼働があります。
パチンコ・パチスロの設置台数は全国で約450万台。
仮に1台30万円として、450万台の価格は1兆3500億円。
4,5年ごとに1兆円以上のお金が機械代として購入されているわけです。
このみなし機を撤去する場合は、新基準機を導入する必要があります。新基準機を購入する費用は、結局は打ち手である我々が支払うことになるのです。