保証人についての話です。
あなたは保証人になってほしいとお願いされたことがありますか?
両親や兄弟、お世話になった恩人などからお願いされたら断ることができますか?
「保証人にだけはなるな。」と叩き込まれて育ってきた人が多いにもかかわらず、日本社会は保証人を立てなければならない機会が非常に多くあります。
お金の貸し借りはもちろん、賃貸住宅に入居するとき、学校に入学するとき、入社するとき、事業用資金を借りるとき、さらに、自ら保証人になったわけではないのに保証人になってしまう相続など、数え上げればきりがありません。
『保証人』という言葉は身近なものなのに、あまり詳しく知らないものです。
保証人の種類
保証人には、単なる「保証人」と「連帯保証人」があります。
「保証人」と「連帯保証人」の違いもわからないまま連帯保証人になってしまう人もたくさんいます。
保証人は、あくまで債務者を保証する補完的な存在であるのに対して、連帯保証人は借りた本人と同等の責任を負うことになります。
責任を負う範囲も債務者と同じです。
この歴然たる事実を知らないまま連帯保証人になってしまうため、いざ請求されたときに慌てふためき、どうすることもできずにパニックに陥ってしまうのです。
また、自ら保証人になったことがなくても、親が保証人だったために相続して保証人になってしまうということも考えられます。
まったく知らない親の知人などの保証人になってしまうことがある、すごく恐ろしいことですので、しっかりと記憶に留めておいてください
保証人の場合
例えば、Aさんがサラ金業者から借金をして、あなたがAさんの「保証人」になったとします。 その場合、業者があなたに借金の請求をしてきても、あなたは、「先に、Aさんに請求してください。」ということができるのです。
では、業者が、「Aさんに請求したがらちがあかないので、あなたの家を差し押さえる。」と言ってきたらどうなるのでしょうか。 この場合、Aさんが返済する経済的余裕があり、借金返済に十分な預金を有しているなど強制執行が容易であれば、そのことを証明した上で、「まず、Aさんの財産を差し押さえてください。」と言えるのです
まずはAさんを先に・・・と逃げれるわけですね。
連帯保証人の場合
あなたが「連帯保証人」である場合には、業者が請求してきても、そうはいきません。
また、「保証人」が複数いる場合、その頭数で割った金額についてのみ、借金を支払えばすみますが、「連帯保証人」の場合は、何人いようと、借金全額について支払わなければならないのです。
当然、サラ金業者はお金を貸す場合、「保証人」ではなく、「連帯保証人」を要求してきます。
「迷惑はかけないから。」と言われても、連帯保証人としてハンコをついたりするのは、それだけの覚悟が必要なのです。
知人が借金を返せなくなったとき、その借金を知人に代わってまるごと返済する覚悟がなければ、どんなに嫌われようと契約書にハンを押さないことです。
連帯保証人になると、貸主も平気で返済を求めてきます。
よく、ヤミ金や消費者金融などから、保証人や連帯保証人でもないのに、親や兄弟、親戚などへ借金を払えと来る場合がありますが、まったく払う必要も義務もありません。
これは取り立て禁止行為のひとつなので、無理強いが続くようなら110番するに限ります。
気をつけなければいけない次の3点
1.知人の借金の連帯保証人を頼まれたが、契約書を「公正証書」にするための委任状もくれと言ってます。署名捺印して渡しても問題ないのでしょうか?
これは、借主が返さない場合、貸主は裁判せずに、いきなり財産を差押さえできるという条項入りの契約書を公正証書にすると、連帯保証人にも裁判なしで強制執行をかけられます。保証人のリスクを説明しないような業者に、そんな権限まで与えるのはとても危険です。絶対にサインしないようにしましょう。
2.知人の借金の連帯保証人になるのですが、契約書に「極度額」として、借りる額より高い額が入っています。業者は「その知人にここまで貸せる」という信用度を表すだけで心配無用と言いますが大丈夫でしょうか?
これは、「根保証」といって、借主が業者から借り入れるたびに、あなたがいちいちサインしなくても、自動的に保証人になるという契約です。しかも保証責任を負うのは契約の際の借入額じゃなく、極度額として書かれている金額まで保証しなければなりません。
なので心配無用でもなんでもありません。
3.貸主が契約書のあちこちに捨て印を押すようにいいます。中には、白紙の用紙があります。言われるまま署名押印しても大丈夫ですか?
捨て印は、契約内容の訂正に使われるものです。
白紙に捨て印を押すと、勝手に委任状などを作られる恐れがあります。
以上のことから署名押印は拒否するようにしてください。